根管治療ではなく抜歯を選んだ17歳男性
ももこ歯科のブログを読んでくださる皆さま、いつもありがとうございます。
なかなかセンセーショナルなタイトルですが、事実です。将来があるからこそ、抜歯を選択されました。ちなみに、保護者同伴でももこ歯科を受診していただいてます。
本日はももこ歯科に初診の患者さんのコンサル内容についてお話しします。
ももこ歯科には根管治療を目的で受診される方は多いです。一方で、根管治療が最適解ではない場合もあります。そこで今回は、初診の際、患者さんとどんなお話をしているのか、実際の症例を挙げてお話しします。
初診までの経緯
17歳男性
主訴:右下の腫れが治らない、何度も腫れている
2020年から右下顎第一大臼歯の根管治療を3回も繰り返しているのにも関わらず、腫れが治らないことを主訴に
2025年10月11日 ももこ歯科を受診されました。
診断:右下顎第一大臼歯根管治療済み歯・症状がある根尖性歯周炎
治療方針:根管治療、抜歯
下記、初診時の口腔内とレントゲンです。

問題点としては、腫れがひいてないこと、サイナストラクトがあること、フェルールがほぼない状態のため根管治療のみでサイナストラクトが治ったとしても歯冠歯根比が1:1くらい、もし、外科的歯内療法を行うことになった場合はさらに歯冠歯根比が悪化し、耐久性に問題を生じる、等々です。17歳と若く将来がある患者さんを負のサイクルからなんとか救出したいと歯科医師なら誰もが思うところです。
それではCTをみてみます。
炎症性の歯根吸収が起きているのか?根尖がずいぶんとフラットになっています(左下CT:sagital像)。繰り返す根管治療で根尖の形態も変化しているでしょうから、根管治療のみで症状が改善しない可能性はありそうです。

おやおや!!白い矢印は親知らずです。この親知らずに活躍してもらいましょう!!
治療方針の提案
ももこ歯科ではいつも患者さんに治療方針をいくつか提案し、患者さんご自身にとってどれが最適解か、相談しながら決めています。
ももこ歯科から提案した治療方針は以下のとおりです。
・抜歯
それぞれについて詳細を以下に記します。
根管治療後必要に応じて外科的歯内療法
根管治療後腫れとサイナストラクトが治らなければ外科的歯内療法を行います。外科的歯内療法では根尖を切りますから、その後の歯冠歯根比は1:0.Xかになると予想され、耐久性に疑問を感じますし、17歳と若く将来がある若者が早々に大切な歯を失うことになりかねない状況になるかもしれません。根管治療で腫れとサイナストラクトが治れば外科的歯内療法は不要です。しかし、現状でも歯冠歯根比は1:1くらいですし、フェルールもほとんどない状態ですから、どのくらいもってくれるかは予測不能です。
抜歯と抜歯後の治療方針
ここでは、外科的歯内療法後あるいは根管治療後予後不良のため抜歯することになった場合も含めてお話しします。抜歯後の治療方法は以下に記します。
・ブリッジ
・インプラント
・入れ歯
・矯正で右下顎第二大臼歯と親知らずを移動させる
患者さんと保護者は、『矯正で右下顎第二大臼歯と親知らずを移動させる』を選択され、矯正専門医を受診していただき、右下顎第二大臼歯と親知らずを移動させることは可能、という矯正医からの嬉しい報告でした。
さいごに
上記の治療方針はどれも正しく不正解はありません。根管治療にこだわりを持った診療スタイルを掲げているももこ歯科ではありますが、私が提案する治療方針の中から最適解を見つけるのは患者さんであると、ももこ歯科は考えています。この症例にかぎらず、いつも複数の治療方針を挙げて、患者さんに最適解を見つけてもらっています。患者さんに常に根管治療を第一選択にするような説明をすることはありません。患者さんと一緒に最適解を見つけられるように心がけています。
以上がももこ歯科の初診の風景です。
ご参考になれば幸いです。
次回のブログもお楽しみに。
