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NiTiファイルのデザインについて

NiTiファイル  / 根管治療  / 院長ブログ

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

前回に引き続き、NiTiファイルの各部位について第二弾です。前回、ラジアルランドは根管壁にNiTiファイルの刃が食い込まないようにするために設けられている、とお伝えしました。しかし、最近のNiTiファイルにはラジアルランドが設けられていないことが多いようです。ラジアルランドを設けるとファイル自体が硬くなり、湾曲根管を追従できるようなしなやかさを持つNiTiファイルの特性を生かすことはできません。でも、NiTiファイルが破折しないような予防策、NiTiファイルが根管壁に食い込まないような対策は、ファイルを開発する上でとても重要な配慮する項目でもあります。

そこで今回は、ラジアルランドの代替えとして、最近のNiTiファイルはどのようなデザインになっているのか、そして、破折を予防するための改良点についてお話しします。

Alternating Contact Point

 

ランドの代替えとして、Alternating Contact Pointというデザインがあります。
根管壁に接触するピッチの次のピッチは、接触しない部分、その次が接触する部分…というように、根管壁に接触するピッチが交互になるようにデザインされており、根管壁と接触する際に生じる圧をリリースしながらNiTiロータリーファイルを根尖へ進めていきます。
ファイルの根管壁に対する接触点は、3点の箇所もあれば2点の箇所もあるし、1点、あるいは接触していない部分もあります。

カッティングエッジの角度

カッティングエッジの根管壁に対する角度は2種類あります。

ランドがあると、左上の図のように、カッティングエッジが根管壁に対してほうきではくようなイメージで接触します。一方で、ランドがないファイルの場合は、根管壁に対してカッティングエッジはカンナで削るように接触します。

ランドの有無については、どちらが優れているということはなく、術者の好みでNiTiファイルを選んでいいと思います。

 

ほとんどのNiTiファイルの先端は、ノンカッティングチップといって、刃がついていません。ファイルが根管内で切削回転しながら根尖へ進めていく際に、根管壁に食い込んでロックされるのを回避しています。

ファイルで根管壁を切削しながら細菌を除去したいけれども、ファイルの破折を予防しなければならない、という矛盾をいかに解決していくかが、NiTiロータリーファイルに求められる条件です。

あれを優先すればこれが活かせない、これを優先すればあれが疎かになる、というふうに、ファイルのデザインはなかなか難しいですね。なにごとも、いい塩梅が一番です。

次回からは、またNiTiロータリーファイルの歴史に戻ります。

お楽しみに。