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根管治療にCTは必要でしょうか??

CT  / 根管治療  / 院長ブログ
いつも、ももこ歯科のブログを読んでくださり、ありがとうございます。
そろそろ夏の暑さも和らぐ季節になりますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、本日のブログのテーマは、根管治療の際にCTを撮影するかどうかについてです。
先日、患者様からお問い合わせいただいた内容は、以下に示します。

 

根管治療の時、CTって必要ですか?通院中の歯科医院で、『発見しづらい根管があるので、根管のあるかないかは、CTを撮影すればわかるから、CTを撮影してから根管治療を始める』と言われました。こんなことを言われたのは初めてだったので、最近では一般的なことですか?」
根管治療の際にCTが必要になる機会は増えています。根管治療においてはまずデンタルを撮影してから、CTを撮影します。それから、『発見しづらい根管』はおそらく上顎大臼歯近心頬側第二根管のことだと思います。上顎大臼歯近心頬側第二根管はそもそも存在するので、治療前に上顎大臼歯近心頬側第二根管の有無を確認するためにCTを撮影することはなく根管のカーブや根尖の位置たとえば近心頬側第一根管と途中で合流しているのか、あるいはそれぞれ独立しているか、等々の確認のためにCTを撮影することはあります。
では、具体的にどんな場合にCTを撮影するかAAEのPosition Statementで確認します。

根管治療におけるCTの必要性

American Association of Endodontics(アメリカ歯内療法学会)でのCBCT撮影要件です。

このステートメントによると、歯内療法でCT撮影が必要になる場合、照射野を制限して撮影することが提唱されています。たしかに、歯内療法領域でCTの画像情報が必要とされる場合は、ターゲットとなる歯とその隣接領域の情報だけで済みます。

それから、なぜCTの画像情報が必要か、というと診断が難しいときです。
ステートメントに書かれている内容は、以下の通りです。

  1. 臨床症状と診断が矛盾しているとき
  2. デンタルで診断が難しい時
  3. 病変の確認
  4. 非歯原性疼痛との鑑別診断
  5. 解剖学的な構造が複雑だと判断した時
  6. VRF(未修復な歯の場合)
  7. 治癒の評価
    外科的歯内療法か非外科的歯内療法か、治療方針を決定する時

上記1〜4はほぼ同じ理由です。患者さんが痛みを訴えていらしても、診査やデンタルで痛みの原因と結びつかない場合、取り漏れている情報があるかもしれないためにCTを撮影することがあります。

VRF Vertical Root Fracture:垂直性歯根破折
垂直性歯根破折を疑ってCTを撮影することはほとんどないです。ステートメントにあるのは、根管治療をしていない歯の垂直性歯根破折の場合、破折線の範囲を確認するためにCTを撮影することはあるかもしれません。ただし、破折線の太さが太いほどCTで検出されますが、細いほど隣接する組織とのコントラストがつきにくいため、描出は難しくなります。よって、垂直性歯根破折の範囲を知りたいがためにCTを撮影するのは首を傾げます。

デンタル vs. CT

では例を挙げます。

デンタルでは根尖部透過像が不鮮明ですが、CTを見ると根尖部透過像は火を見るより明らかです。

下顎の場合は、皮質骨が厚いためデンタルのみでは透過像の描出が不明な場合があります。

 

上顎の皮質骨は薄く、デンタルで根尖部透過像が描出されやすいですが、上顎洞と根尖が重なりデンタルのみで根尖部透過像を描出することはやや困難な場合が多いです。

 

デンタルで根管が理想とは異なる走行をしているとき、事前にCTを撮影しておくと、治療をスムースに進めることができます。この症例は、口蓋側にトランスポーテーションを起こしていることがわかりました。

 

まとめ

治療前にあった方が良い情報を得るために、治癒の評価をするために、治療中に解剖学的な形態を正確に知りたいとき、等々CTを撮影することは有意義です。

歯根破折の確定診断を目的にCTを撮影することはおすすめできません。

ももこ歯科では、初診時と治癒の評価でデンタルとCTを撮影しています。

根管治療後の経過観察で、根尖部透過像はなく治癒していると診断しようとした時、患者さんが痛みを訴えることがあります。この場合は、非歯原性歯痛を疑い、CTを撮影することがあります。非歯原性歯痛が疑われる場合は、ももこ歯科から専門医をご紹介します。

次回のブログもお楽しみに。